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「地域にとっても大切な財産」第1回 口頭弁論

白保リゾートホテル建築工事差し止めを求める裁判の第1回口頭弁論が、12月6日、那覇地方裁判所で開かれました。原告を代表して新里昌央さんが、白保の海は「原告団だけでなく、地域にとっても大切な財産」であることを伝えました。まっすぐな心の言葉です。ご一読ください。

平成30年12月6日

原告代表 新里 昌央

 私は石垣島の白保村の海のすぐそばで生まれ育ち、まだ半人前ですが父や亡き祖父と同じ素潜りの漁師として生きています。漁場の対象は石垣島の沿岸一円です。中でも、村の目の前に広がる白保の海は東海岸を代表する恰好の漁場です。春にはマガキガイやモズクが、夏にはイセエビが、秋や冬には魚がよく獲れます。それはきっと北半球最大と言われるアオサンゴの群集をはじめ、種類豊富なサンゴ・サンゴ礁がしっかり生きているからであり、その恩恵だと思っています。


 私は父から漁に必要な技術をいろいろ教わりました。ただ、それ以上にサンゴが漁場の中でいかに重要かも学びました。サンゴは自らが動物として生きる一方、数多くの海の生き物の生活を支えています。サンゴに隠れたり、サンゴ自体を食べたり、またサンゴに生涯くっついて過ごしたり… じつに海洋生物の25パーセントがサンゴに支えられているといいます。


 海は様々な恵みを私達に与えてくれます。食料を得る場であることは言うまでもなく、地域の伝統行事の中の信仰上の心の支え、また地域住民や多くの観光客の癒しの場になるなどサンゴ礁文化として地域で人々と色濃く繋がってきました。

 

 昭和54年に持ち上がった新石垣空港計画 白保海上埋め立て案を巡り、村の人々は海を守る為に必死に闘ってきました。本件における原告の一人である私の父も、白保の海の埋め立て案に反対してきた一人です。


 現在、私も結婚し四人の子供にも恵まれ、我が子に誇れる取柄はさほどないですが、ただ私の父や、多くの方々のおかげで守られた豊かな白保の海を、わが子、そして地域の子供達にしっかりと残していきたい。


 白保の海は、平成17年に国立公園海域公園地区に指定されました。大切にしなければならないという証です。私は漁師の傍ら、その海域でシュノーケリングによるツアーガイドとしてサンゴの鑑賞観光業を行っています。本裁判原告のうち私を含む6名が個人でシュノーケリングのツアーを行っておりますが、6名6社とも沖縄県知事に認められた保全利用協定を地域の事業者内で自主的に策定し、その協定に基づき貴重なサンゴの保全活動やそれに準ずる活動を地道に行っております。 

 

 当初、開発業者側の説明では、「地元の皆さんの理解と協力を得ながら、地域に貢献するホテルを目指したい」と語っています。また、白保という地域が環境保全活動に取り組んできた実績を理解したうえで「このホテルから保全の取り組みを発信していきたい」とも語っています。

 

 保全を発信したいとおもうのであれば、この工事計画はやめるべきではないですか?白保住民も臨時総会で〝不同意〟を決議しました。原告団だけでなく、地域にとっても大切な財産なんです。


 今回のリゾートホテルが仮に計画通りに作られてしまった場合、ホテルからの排水の影響で貴重なサンゴが死に、おのずとサンゴが支えてきた多く生き物も姿を消してしまうでしょう。それは漁師にとっても、サンゴの鑑賞観光業にとっても死活問題であり、決して認めることができないものです。未来に繋いでいきたい… 残したい豊かな海やサンゴへの悪影響が懸念される建築工事をどうかやめて頂きたいとおもいます。

 

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