沖縄県から開発許可を受けた株式会社日建ハウジングの白保リゾートホテル計画は、そのままでは実施できない状態であることを、原告が指摘し、それを日建ハウジングが認めました。
原告としては、そもそも法令上の基準を満たせずに実施できない計画に対して〝中止を争う〟必要はなく、排水計画の変更については確定していない※ことから、1月27日に建築工事差止の請求の取下げを裁判所に申立てましたが、被告は同意しませんでした。
※沖縄県土木建築部建築指導課に確認したところ、通常、開発許可を受けた計画を排水計画など技術基準に該当する内容について変更する場合、開発許可の変更許可(都市計画法第三十五条の二)が必要になります(沖縄県の「開発許可制度に関する運用基準」を参照)。この点、排水計画の変更は、開発許可の変更の届出だけで許可は不要だという説明には根拠がなく、正しくありません。
※詳しくは、プレスリリース「訴訟の終結について」にてご覧いただけます。
裁判をする必要性がない
請求の取下げは、被告の同意を得なければ認められません。しかし、被告が取下げに異議を唱えても(同意しなくても)、被告は、すでに原告が指摘したとおり、開発許可を受けた計画がそのままでは実施できないと認め、計画の変更も確定していないことを理由として、原告による請求の棄却を主張しています。ですから、被告の計画は裁判で審理するだけの「訴えの利益がない」という理由で、原告の請求(提訴)が裁判所によって却下されることになると思われます。
それは、白保リゾートホテル建築計画がそのままでは開発許可の条件である基準を満たせず、沖縄県浄化槽取扱要綱によると生活環境及び公衆衛生上支障を生じる恐れがあり、原則禁止の例外とはならずに実施できない内容であり、かつ、計画の変更も確定していないことから、裁判をする必要性がないと裁判所が判断したことを意味します。
なお、し尿を含む浄化槽処理水の地下浸透処理を行わない計画に変更され、改めて開発許可の変更許可が出され、計画が確定した場合、その計画に対して提訴することは可能です。
今後、計画はどう変更されるのか
建設計画を精査し、再び提訴も含め、様々な働きかけを行っていきます。
原告7名は請求の取下げを申立てましたが、日建ハウジングがホテル建設計画を中止したわけではないので、計画を変更して進めようとする可能性があります。計画を変更する場合は、石垣市の条例上、周辺地域の自治組織の同意を得ることが求められます。
そうなれば、原告をはじめとする私たち白保地域の住民は、計画変更についての説明を受けたうえで計画を精査し、地域の生活環境や自然環境、景観に対する問題点を明らかにし、豊かな白保の暮らしを将来に受け継いでいくために必要であれば提訴も含め、今後も様々な働きかけを行っていきます。
そもそも住民がリゾートホテル建設計画に反対している理由は、昔ながらのたたずまいと祭りや行事を住民たちが協力し合い受け継いでいる人口約1600人の白保集落のすぐ近くに、年間10万人の利用を予定している宿泊施設が建設されることで起きる様々な暮らしへの悪影響を恐れているからです。交通量の増加による事故の増加や観光客の流入による生活環境や街並みの観光地化は、リゾートホテルが排水や照明を変えてもなくなりません。
白保サンゴ礁地区の自然環境の保全と持続的な利用に取り組む原告を、全国から多くの皆様が支えてくださることに、改めてお礼申し上げます。
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